
4K&タッチ対応の薄型モバイルモニター「GMK KD1」レビュー
※本記事はメーカー様からサンプル提供を受けて執筆しております。なお、金銭の授受およびレビュー内容への干渉は一切ありません。
リモートワークの拡大によって、最近はモバイルモニターの需要が高まっているようです。
身も蓋もないことを言ってしまえば、在宅勤務でしか使わない(持ち運ばない)のであれば普通のモニターを買った方が生産性もコストパフォーマンスも高いはずですが、「仕事のためのモニターに自宅の空間を占有されるのが嫌」「スペースの確保が難しく、リビングやダイニングで仕事をしている」など、いろいろと事情はあるでしょう。
ノートPCの狭い画面で仕事をこなすのは厳しいけど、自宅にフルサイズのモニターは置けない・置きたくないという層に、タブレット程度のサイズ感で手を出しやすいモバイルモニターは刺さっているのでしょうね。
もちろん、持ち運び用の小型モニターという本来の性質からすれば、ホテルのテレワークプランを利用したり、分散されたサテライトオフィスに出勤したりといった働き方とも相性が良いアイテムです。

そんなリモートワーク特需もあって、ここ1年ほどモバイルモニターというジャンルはかなり活気があります。メーカーにこだわらなければ、標準的な13~15インチ・フルHD級のモバイルモニターであれば1万円台半ばで買える状況です。
安さ重視で選ぶのもアリですが、それだけ激戦区と化しているジャンルなら当然、ワンランク上の製品もだいぶ価格がこなれてきています。
今回ご紹介する「GMK KD1」は、高画質な4K IPS液晶を搭載し、タッチ操作にも対応。それでいて、価格は3万円台前半。少し予算を増やして、仕事以外にも色々使えそうなワンランク上のモバイルモニターを選んでみるというのも、一考の価値はあるのではないでしょうか。
「GMK KD1」の概要
GMK KD1は、中国のGMK社が製造・販売するモバイルモニターです。約6cm四方の超小型デスクトップPC「GMK NucBox」を2020年夏に発表したメーカーでもあり、そちらで聞き覚えがある方もいるかも。
画面サイズは14インチ、画面解像度は3840×2160(4K UHD)で、視野角178度のIPS液晶を採用。映像入力はUSB Type-C経由のDP Alt Modeのほか、HDMIにも対応します。タッチ操作に対応するほか、ステレオスピーカーを搭載。最薄部の厚さは6mm、重さは約850gです。

開封・付属品チェック
GMKのロゴだけが印字されたシンプルな黒い箱を開けると、まずは本体が登場。その下に付属品が収められています。
各種ケーブルとUSB変換アダプター、ACアダプター、クリーニングクロス、説明書が付属します。
付属ケーブルのうち、C to CのUSBケーブルだけはデザインが異なり、少し高級感のあるコネクタになっています。同じケーブルが2本付属しているのは、映像入力と電源などでの同時利用を想定してUSB Type-C端子を2つ備えているためです。
30Wも出るUSB充電器がついてくるのはちょっと嬉しいですね。いくつあっても困りません。ただ、付属品としては性能の良い物が奢られているとは思いますが、パススルーでノートPCなどの充電も行いたい場合はもう少し高出力な物を別途用意した方が良いかもしれません。
外観チェック
上・左・右の3辺はベゼルがとても狭く、下だけ広め。サイズ的にどうしても見下ろす形になることを考慮すると、首への負担などを考えれば下部ベゼルを削りすぎるのは得策ではなく、実用的なバランスだと思います。
前面右下にはGMKのロゴが入っていますが、背面は無地です。
キックスタンドが内蔵されており、単体で自立します。角度調整も可能です。
安価なモバイルモニターでは運搬時の画面保護を兼ねたスタンド兼ケースを付属させる製品が多いのですが、そのやり方ではいくら本体が軽くても総重量や厚みが増してしまい、モバイル利用ではあまり快適とは言えません。GMK KD1のようなスタンド内蔵型の方が使いやすく、仮にモバイルせずに家でしか使わないとしても見栄えも良いと思います。
画面を倒せる角度はここまで。画面サイズが近いノートPCの感覚で考えると、もう少し倒せた方が見やすい場面もありそうなのは惜しい点です。
基板をスタンド部に入れることでディスプレイ部を薄く仕上げているのか、端子はすべてスタンド側についています。右側にはメニューボタン、micro USB端子、イヤホンジャックがあります。
左側にはUSB Type-C端子が2つとmini HDMI端子があります。USB Type-C端子はDP Alt Modeによる映像入力のほか、給電にも使います。
実際に使ってみた
4K液晶の品質は良好
4K液晶を搭載するモバイルモニターとしては比較的安価な部類ですが、ディスプレイの品質には不満はありません。発色も良く、動画視聴やゲームなどプライベートでもモバイルモニターを活用したい人には適しているでしょう。
難点を挙げると、まずグレア液晶で低反射コートなどもあまり効いていないので、画面の反射は強めです。それから、パネル自体の発色は良いのですが、HDRは……あまりアテにしない方が良いかもしれませんね。
タッチ操作ができるメリット
GMK KD1はタッチ操作にも対応しています。モバイルモニターを使う場合のほとんどはノートPCとの組み合わせでしょうから、2in1モデルに限らずタッチ対応機が増えている現状、それに順応した使い方をしている人ならモバイルモニターもタッチ対応の物を選んだ方がストレスなく使えるはずです。2画面並べた時に、何気なく操作しようとして「あ、こっちはタッチできないんだった」ということが起きませんからね。
ノートPCにタッチパネルは要らない・使わない、とあえて非搭載モデルを選ぶ人(私もそちら側)でも、「ノートPC本体の画面をベタベタ触るのには抵抗があるけど、+αで使う分には意外と便利」という発見があるかもしれません。
たとえば、最近はメーカーによってはスマートフォンをPCから操作できるような連携機能もありますし、Windows向けでもUWPアプリなどはタッチの方が素早く操作しやすいものもあります。タッチ操作の方が都合が良い作業はサブ画面に回してしまう、という使い分けは有効だと思います。
ちなみに、GMK UD1はモニター自体の設定もタッチ式です。物理的な操作ボタンは1つしかなく、ボタンを押すと画面右下にメニューが表示されます。
モバイルモニターに限らず据え置きでもそうですが、モニターの設定操作ってあまり直感的ではないものが多く、限られたボタン数で作られているので分かりにくい・使いにくい操作になりがちですよね。タッチ操作なら細かな輝度調整なども楽ですし、いつでもその都度状況にあった設定をしやすいです。
気の利いたインターフェイスで使い方が広がる
超小型PCのオプション品という出自ゆえなのか(※GMK KD1は当初、GMK NucBoxのクラウドファンディング中に追加アイテムとして登場しました)、拡張性の高い作りになっていることもGMK KD1の長所です。
ノートPCとUSB Type-Cケーブルで接続すれば、DP Alt Modeによる映像入力とUSB PDによる電源供給(ノートPC→モバイルモニター)を1本で済ませられる……というのはよくある話。GMK KD1の場合、2つめのUSB Type-C端子も使えば、外部電源→モバイルモニター→ノートPCというパススルー給電もできます。
右側にあるmicro USB端子に付属の変換ケーブルを繋げば、USB Standard-Aの各種機器を利用できるハブ機能も持ち合わせています。USB端子がType-Cしかない最近のモバイルPC、あるいはスマートフォンのデスクトップモード(DeXなど)と組み合わせるには便利な機能です。
また、スピーカーも搭載しているほか、HDMIなどを経由して受け取った音声をイヤホンジャックから出すことも可能です。普通にありそうで、モバイルモニターでは省略されがちな部分ですね。綺麗な4K液晶ですし、ゲーム機用にもいいかも。
まとめ
「GMK KD1」は4K&タッチ対応のちょっと良いモバイルモニターとしては比較的手頃な価格設定ですし、PCだけでなくスマートフォンやゲーム機などと組み合わせても使いやすい仕様です。事務作業のための道具に留まらないポテンシャルを秘めており、1枚持っておいて損はない実用的なモバイルモニターだと思います。