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価格もサイズも手頃な10インチ2in1「IdeaPad Duet Chromebook」レビュー

デジタルガジェットに関する情報を発信する者として、なるべく幅広い製品に触れておくように日頃から心がけています。その点、Chromebookはまだしっかり使い込む機会がなかったのでちゃんと試さないとなあと思っていたのですが、ちょうどいいタイミングでLenovoから「Chromebook HAPPY PRICE キャンペーン」の案内が届きました。


前々から気になっていた「IdeaPad Duet Chromebook」も対象ということで、迷わず購入。通常販売価格は44,880円、購入時点でのキャンペーン価格は3万円強といったところです。

これは2020年6月に発売された機種なのですが、日本市場における各社のChromebookラインナップの中では意外と少なかった「コンパクトで安い2in1タブレット」という仕様がユーザーに響いたのか、発売直後は納期が長期化するほど注目を集めた機種でした。今は一段落したようで、数日で手元に届くということも購入を後押ししてくれました。

本体の外観をチェック


まずは本体の外観から見ていきましょう。キーボードなどの付属品を装着した状態は後ほどお見せするとして、単体ではごく普通の10インチタブレットです。

画面サイズは10.1インチ、本体サイズは約239.8×159.8×7.35mm、重さは約450g。サイズ感としてはHUAWEIの「MatePad」などに近く、今時のAndroidタブレットと変わらないサイズという印象。それもそのはず、ARMベースの機種なので構成的にもAndroidタブレットに近いものです。


質感の良いアイアングレーのメタルボディに、差し色として彩度低めのアイスブルーが入り、なかなか個性的。国内市場の低価格帯Chromebookの傾向としては文教向けが圧倒的に多数派なので、プライベートで違和感なく使えるポップなデザインの機種は貴重です。


下部には専用キーボードを接続するための端子があり、右側面には音量キー、電源キー、USB Type-C端子が並びます。スピーカーは上部左右に配置され、ステレオ仕様です。

カメラ周りは少し突起がありますが、平らな場所に置いて操作しても大きなガタつきは出ない程度です。また、後述の「スタンドカバー」を装着すれば出っ張りは隠れます。

キーボード&スタンドカバーと合体


本体と同梱品を並べてみました。キーボード、スタンドカバー、イヤホン変換ケーブル、USB Type-Cケーブル、ACアダプタが付属します。


LenovoのChromebookはUS配列のまま日本市場に持ち込まれている機種もありますが、IdeaPad Duet ChromebookはしっかりJIS配列のキーボードが用意されています。

キーボードの種類を増やしても製造面では負担になりにくい2in1タイプですし、USキーボードを選べるようにしてあげても良いんじゃないかな、とは思うところ。まだバリエーションを増やせるほどの台数が出る製品ではないのかもしれませんが……。

話を戻すと、キーボードの面積が限られる10インチモデルということもあって、端に行くほど少し窮屈なキーレイアウトになっています。その分、主要な文字キーは十分なサイズとキーピッチが確保されており、小さい割にはまあまあ打てる印象でした。


スタンドカバーという付属品は、動画鑑賞やキーボード使用時など、本体を自立させたい時に必要なものです。本体背面にマグネットで固定でき、キックスタンドとなっている下半分を開くと立てられます。

ファブリック素材で覆われており、少しPixelやNestシリーズなどのGoogle純正デバイスに近い雰囲気。ある意味Chromebookらしいかも?ただ、布張りのせいでキックスタンドを開く時に“剥がす”ような引っかかりがあり、生地が馴染むまではちょっと不安な感じの操作感になってしまっているのが使い始めは気になりました。


個人的には、このスタンドカバーに頼る構造はナンセンスだと思います。薄さも軽さも失われてしまいますし、本体サイズより若干大きく固定もそれほど強固ではないため、タブレットとして使う際には面倒でも外さないとちょっと違和感がありました。

本体+キーボード+スタンドカバーの合計重量は約920g。本体重量の倍以上になってしまいます。Surfaceのような内蔵キックスタンドになるとなお良いですね。

動作や使い勝手はどう?


Chromebookにはx86/x64系の機種とARMベースの機種があり、IdeaPad Duet Chromebookは後者。そうは言っても基本はブラウザ(Chrome)を中心とした使い方になり、Google自身が提供する各種サービスで一通りの利用環境を整えられているデバイスです。大抵のユーザーはどちらであるかを気にする必要はなく、違いを実感することも少ないでしょう。Surface Pro XやM1搭載Macのようにメリット・デメリットを把握して選ばなければならないということはありません。

IdeaPad Duet Chromebookのスペック表
SoCMediaTek Helio P60T
メモリ4GB
ストレージ直販モデル:128GB/量販店モデル:64GB
ディスプレイ10.1インチ 1920×1200(WUXGA) IPS液晶
外部端子USB Type-C(DP Alt Mode対応)
通信機能IEEE 802/11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2
カメラリア:約800万画素、フロント:約200万画素
サイズ(本体のみ)約239.8×159.8×7.35mm
重量(本体のみ)約450g
サイズ(キーボード・カバー込み)約244.9×169.3×18.2mm
重量(キーボード・カバー込み)約920g

主なスペックとしては、MediaTekの「Helio P60T」プロセッサを採用し、メモリは4GB、ストレージは128GB(量販店モデルは64GB)。もしAndroid端末だったら少し性能に不安を感じる構成ですが、Chrome OSで使う分には意外とそこそこ快適に動いてしまいます。タッチ操作でのスクロールなど非力さを感じる場面もありますが、低価格帯の機種としては許容範囲内でしょう。

ただし、それはあくまでChrome OSに合った使い方をする場合に限った話です。Androidアプリはスペック相応の動きになってしまいますから、「キーボードがつくAndroidタブレット」という感覚で買うのはおすすめできません。


Chrome OSのUIは、旧来のデスクトップOSの延長というよりはスマートフォン・タブレットの感覚に近いです。IdeaPad Duet Chromebookのような2in1機ではタブレットモードのジェスチャー操作などがまさにAndroidそのものということもありますが、その点に限らず、全体的に「パソコンを持っていなかった人」でも馴染みやすいと思われます。電源は入れっぱなし、高速なスリープ復帰で使うのが基本というのもイマドキですよね。

スマホが入口の人にも馴染みやすいという点で言えばもう1つ、ディスプレイ品質の高さもこの機種の長所ですね。10.1インチWUXGA(1920×1200)と高精細なIPS液晶を採用しており、低価格帯のChromebookにはまだまだありがちな1366×768とかじゃないんですよ。たぶんスマホネイティブにはあの前時代的なユーザー体験は受け付けられないでしょう。


当然ながら「フル機能のGoogle Chromeを持ち歩くためのデバイス」としては優れています。AndroidタブレットやiPadにChromeをインストールしても同期はできるし使い勝手も同じようなものじゃないかと思われそうですが、Chromebookなら拡張機能も使えるという違いは大きいです。

ただ、複数のGoogleアカウントでChromeを同時に使いたい場合にはちょっと不便。私の場合、業務用のツールなどをプライベートのメインアカウントとは別のGoogleアカウントに紐付けているので、PCで作業する時は2~3ユーザーで別々にChromeを開くことが多々あります。この辺りはデスクトップ版Chromeと挙動が違うので注意。


以前「Chromebook S330」を試用した際には、モバイル向きの機種ではなかったためあまり意識していませんでしたが、AndroidとChrome OSの関係は、iOSとiPad OSの関係に少し似ているところがあると感じました。

スマートフォンと同じアプリを使えるけれどタブレットやラップトップに最適化した別の見せ方をしているOSという意味でも似ていますし、連携機能は特に近いものを感じます。スマートフォンと紐付けておくとスマートフォンを出さなくてもChromebook側の操作だけでテザリングを開始できたり、メッセージ(SMS)をChromebookで使えたりと便利な接続機能があります。

まとめ


国内ではどうしても低価格帯や教育向けのイメージが強いChromebookですが、IdeaPad Duet Chromebookは個人のセカンドデバイスとして有用な珍しい立ち位置の機種です。

日本市場での傾向としては「自宅でしか使わない」「ちょっとネットを見るだけ」といった使い方で家庭にしぶとく残る旧型PCのリプレースを狙った製品が多いなか、モバイル寄りの機種としては筆頭候補になるでしょう。

デザイン的にもプライベートで持ちやすいでしょうし、コンパクトかつタブレットとしても使える2in1スタイル。価格的にも手を出しやすく、さらに別売りの「Lenovo USI Pen」(4,400円)があれば「Chrome描画キャンバス」などの対応アプリで手書きも可能になります。デジタルガジェットに関心がある人が、個人的に買って使ってみるChromebookとしては、国内で買える中では最適な選択肢かと思います。

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