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「TCL 10 Pro」レビュー:デザインやディスプレイは良いけど、ソフトウェアがイマイチ

以前から少し気になっていたAndroidスマートフォン「TCL 10 Pro」が10月中旬に安くなっていたので、物は試しと購入して2週間ほど使ってみました。

結論から言えばあまりおすすめはしません。元値の約5万円で考えても、2020年10月現在の相場である約2.5万円で考えても、やや荒削りな印象で他にもっと良い物があるかなと思います。

「TCL 10 Pro」ってどんな機種?


TCLは中国の総合家電メーカーで、特にテレビなどの黒物家電を得意としています。日本のテレビ市場にも2019年夏に参入しました。

スマートフォンメーカーとしては聞き慣れない方が多いかもしれませんが、それもそのはず。少し前までは自社ブランドの端末は出しておらず、AlcatelやBlackBerryのブランドを借りていました。2019年モデルの「TCL PLEX」を皮切りに自社ブランドのスマートフォンを売り出し、2020年はTCL 10シリーズとしてミドルレンジを中心に展開しています。

「TCL 10 Pro」は、TCL 10シリーズの4Gモデルの中では上位寄りの機種です。Snapdragon 675にメモリ6GB、ストレージ128GBで、6.47インチの曲面有機ELディスプレイ、メイン6400万画素のクアッドカメラを搭載します。

日本版の価格は49,280円(税込)でしたが、この記事を執筆している2020年11月時点では、Amazonなどでは2万円台半ばで入手できます。

開封・付属品チェック


箱を開けると、まずはフィルムに包まれた本体が登場。その下に付属品という、よくあるタイプのパッケージです。


本体のほかに、USB Type-Cケーブル、充電器、TPUケース、クイックガイド、SIMピンが入っていました。

ケースは無地かと思いきや、フィルムにも書かれている「DISPLAY GREATNESS」のロゴが入っていました。ディスプレイはTCL製スマートフォンの最大のアピールポイントと言っても過言ではなく、それを前面に押し出したデザインとなっています。

外観:高級感と個性があり、良い仕上がり


続いて、本体の外観をチェックしていきましょう。前面は、上部中央に水滴型の小さなノッチを設けてインカメラを配置。有機ELディスプレイを採用し、左右を曲げた今時のスマートフォンらしいデザインです。


ボディカラーは「フォレストミストグリーン」と「エンバーグレー」の2色があり、私が購入したのはフォレストミストグリーンです。


背面はガラスで覆われ、カメラ部分以外はすりガラス状のつや消し加工が施されています。カメラ周りに突起がなく完全にフラットなのは美点です。


右側面には電源キーと音量キー。


左側面には「スマートキー」と呼ばれるカスタマイズ可能なキーがあり、Googleアシスタントやカメラの起動などの操作を割り当てられます。


上部にはイヤホンジャックがあります。


下部にはSIMカードトレイとUSB Type-C端子、スピーカーがあります。

最近の日本市場向けSIMフリー機は気付けばすっかりデュアルSIMが当たり前のようになりましたが、TCL 10 Proは意外にもシングルSIM。トレイは小さくまとめられており、片面にnano SIM、裏面にmicroSDカードをセットできます。

冒頭であまりおすすめできる機種ではないと書きましたが、正直なところ、外観から受ける第一印象だけはとても良かったのです。TCLブランド第1弾のTCL PLEXはちょっと野暮ったい印象でしたが、TCL 10 Proは一見ハイエンド機のような高級感と個性がありますし、シュッとした今風のデザインです。それだけに中身とのギャップが、ね……。

スペック・動作:悪くないが、チューニングが曲者

TCL 10 Proのスペック表
SoCSnapdragon 675
メモリ(RAM)6GB
内部ストレージ(ROM)128GB
外部ストレージmicroSDXC(最大256GB)
画面サイズ・方式6.47インチ 有機EL
画面解像度2340×1080(FHD+)
バッテリー4500mAh
充電端子USB Type-C
OSAndroid 10
アウトカメラ約6400万画素(広角)+約1600万画素(超広角)+約500万画素(マクロ)+約200万画素(暗所)
インカメラ約2400万画素
サイズ約158.5×72.4×9mm
重量約177g
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基本性能としては、2020年のミドルレンジスマートフォンとしては平均レベルでしょう。元値が約5万円ということを考えるとやや非力な印象を受けます。2万円台で買える今の相場であれば妥当かなというところです。

Geekbench 5のベンチマークスコア

3DMarkのベンチマークスコア

スペック自体は日常利用で遅さを感じるほど低くはないはずですが、チューニングが曲者。素早く払うと一定の速度でリミッターがかかっているかのような引っかかりを感じるスクロール動作など、不自然な動きの付け方でもっさりしているように見えてしまっている部分があります。

4500mAhとバッテリーが多めなので、電池もちは悪くありません。リバースチャージもできるのは珍しいですね。LTEの対応バンドは1/3/8/18/19/26で、ドコモ、au、ソフトバンク網で利用できます。発売後のアップデートでUQ mobileとBIGLOBEモバイル(タイプA)のau回線VoLTEにも対応しました。


TCL PLEXもそうでしたが、テレビメーカーとして培った映像処理技術と高品質なディスプレイパネルを組み合わせた映像美は大きな魅力です。

ただ、その割にオーディオはおざなりでモノラルスピーカー止まりです。映像にこだわっても音がいい加減では実際の利用シーンを考えると武器になりにくいのではないでしょうか。

UI・機能:工夫の跡は見られる

UIは独自色が強く、ロック画面などはなかなか凝っていておしゃれです。設定メニューはやや日本語化が甘い部分も見受けられます。画面の表示サイズの設定はなく、フォントサイズのみ設定可能でした。

ホームアプリのドロワーには、自動でアプリをカテゴリー別にまとめる機能があります。ただ、TwitterやInstagramのような有名SNSアプリですら「その他」になってしまい、やや実用性に欠ける分類でした。


画面内指紋認証の速さは、光学式としては並のレベルです。認証が済んでからも押しっぱなしにしておくと、「指紋認証のクイック起動」という隠しランチャーが表示されます。

使用頻度の高いアプリなどを入れておけば便利……と言いたいところですが、このランチャーよりもホーム画面の方が先に表示されるので、そちらに並べておいた方が早いんですよね。もう少し表示のタイミングを早くするか、いっそランチャーをやめて「指紋センサー押しっぱなしで起動できるアプリを1つだけ設定しておける」ようにした方が使い所があるのではないかと思います。


エッジ部分に表示される「Edge Bar」をスワイプするとランチャーが出てきます。定規機能などもあり、Galaxyシリーズの曲面ディスプレイ搭載モデルを意識した感じの機能ですね。スマートキー、指紋認証のクイック起動、Edge Barと、クイックランチャー的な機能が充実しています。

あとは、最大4台のBluetoothスピーカーを同時接続して臨場感のあるサウンドを楽しめるという「スーパーBluetooth」などもユニークな機能ですね。

機能はけっこう凝っていると思うのですが、ちょっと詰めが甘い部分も多いUIで、あまり使いやすくはないです。たとえば、ホームに戻るジェスチャー操作と「ん」のフリックが干渉するなんてジェスチャー操作が出始めの頃のような弱点を今更抱えているのは完成度が低く感じます。あと、ギャラリーで左端を縦にスワイプすると画面輝度が変わるのですが、とても誤操作しやすく邪魔……。

カメラ:チューニングをもう少し頑張って欲しい


TCL 10 Proは、約6400万画素(広角)+約1600万画素(超広角)+約500万画素(マクロ)+約200万画素(暗所)のクアッドカメラを搭載します。このうち、低照度カメラは動画用で、暗い場所に移動すると自動で切り替わります。肉眼で見るよりも明るい映像が撮れました。

TCLのカメラアプリには、3つのカメラを同時に起動してプレビューできる機能があります(PLEXにもありました)。このまま撮影できるわけではないのですが、違いが分かりやすく面白いですね。

(※以下、作例はクリックして大きいサイズで見られます。サイトの仕様上、元サイズではありませんのでご了承ください)

センサー性能が良いのでそれなりに見られる写りではありますが(おそらくメインカメラはIMX582)、食べ物の色味が良くなかったり、HDRやスーパーナイトモード使用時の仕上がりがわざとらしくチープだったり、チューニングが微妙です。

まあ、自社ブランド以外で作ってきた端末(BlackBerry KEY2など)もカメラ性能の割に実際の写りの評判はあまり良くありませんでしたし、過度の期待は禁物かも。

おまけにマクロカメラの作例。これはTCLに限ったことではありませんが、スマートフォンのカメラなんて元々大半の人がまず困らないぐらいには至近距離まで寄れますし、メインカメラとの性能差を考えると200万画素や500万画素のショボいマクロカメラを付けられても、メインで撮って少しトリミングした方がよっぽどきれいですよね。多眼化競争のためのユーザー不在のどうでもいいパフォーマンスだよなぁ、と思ってしまいます。

総評:光るものはあるが、全体的には未完成


得意分野であるテレビのノウハウを活かしたディスプレイや細かな便利機能など光るものはありますが、全体的には作り込みが甘く、未完成な印象です。

5万円の機種として見たら厳しいのはもちろん、半額近い現在の相場で考えても、元からこの価格帯で出来の良い機種(たとえばRedmi Note 9Sとか)と比べてあえてこちらを選ぶ価値があるかは微妙なところです。

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