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「Pixel 4a」レビュー、サイズも性能もちょうどいい快適なミドルレンジスマホ

GoogleのAndroidスマートフォン「Pixel 4a」を購入してしばらく使ってみました。5G版が発表される前にレビューしておこうと思います(注:執筆時点では発表まであと4時間です)。

「Pixel 4a」ってどんな機種?


Pixel 4aは、Googleが2020年8月4日に発表し、8月20日に発売したAndroidスマートフォンです。Pixel 4(あるいはこれから発売されるPixel 5)の廉価版であり、昨年の廉価版Pixelだった「Pixel 3a」の後継機でもあります。5Gには非対応で、追って5G版が発売される予定です。

画面サイズは5.8インチで、恒例の大画面版「XL」は無し。SoCはクアルコムの「Snapdragon 730G」を採用し、メモリ(RAM)は6GB。従来のPixelシリーズと同様に3年間のOSアップデートとセキュリティ更新が保証されます。

Googleストアでの価格は42,900円(税込)。日本版はFeliCaとeSIMに対応します。直販SIMフリーモデルのほか、ソフトバンクからも発売されています。

開封・付属品チェック


パッケージはいつも通り、Googleロゴの下に製品名が書かれ、本体の一部を写したデザインです。


裏面には「#teampixel」の文字が。Pixel 4の時はここにイラストが描かれていて「Googleレンズ」を使ってARで遊べるという仕掛けがあったのですが、Pixel 4aでは特にそういった隠し要素はないようです。


開封するとまずは本体が登場。


内容物は、本体、USBケーブル、充電器、SIMピン、クイックスタートガイドなど。旧機種からのデータ移行に使えるUSB OTGアダプターも付属しています。

外観:黒だけなのは寂しいけど、Pixelらしい親しみのあるデザイン


本体の外観をチェックしていきましょう。前面にはひと目で新型と分かる特徴が……


そう、ノッチもパンチホールも頑なに使ってこなかったPixelシリーズとしては初めて、パンチホール型のインカメラ配置が採用されました。

左:Pixel 4a、右:OPPO Reno3 A


好みは分かれるかもしれませんが、このおかげで画面サイズの割にコンパクトにまとまっているのは良いなと思います。対角5.8インチのディスプレイを持ちながら、本体サイズは約144.0×69.4×8.2mmに抑えられています。重さも約143gと軽めですし、角がなく丸みを帯びたフォルムと相まって、手に馴染む扱いやすい端末です。


ボディは樹脂製の一体成型です。ボディカラーはブラックのみで、光沢のないサラサラした手触り。とても細かい部分ですが、背面指紋センサーの周りが滑らかに凹んだ段差のない造形になっていて心地良いです。

Pixelシリーズは毎回カラーバリエーションも楽しいので、1色しかないのはちょっと寂しいですね。まあ5G版やPixel 5が本命ということでしょう。発売時期が本来のモデルサイクルから大きくずれてしまったためにカラーバリエーションが整理された可能性もあります。


カメラ部分はPixel 4などと同じ四角いブロックにまとめられています。とは言ってもシングルカメラなので、あくまで上位機種とデザインを揃えたという感じ。ちなみにここ、傷付きやすいので要注意です(いつの間にか線キズが……)。


右側面には電源キーと音量キー。ワンポイントで色を変えてあるのはPixelらしさを感じます。

どちらのキーもガタつきはなくしっかりした押し心地です。グラグラするよりは安っぽくないと思いますが、操作音はちょっと大きめ。


SIMスロットは左側、少し下のほうに配置されています。nano SIM+eSIMのデュアル仕様なので、物理SIMのスロットとしては1枚のみです。


Pixel 3aに続き、イヤホンジャックを備えます。フラッグシップのPixel 3やPixel 4にはなく、はっきりユーザー層に合わせて作り分けているようですね。


下部にはUSB Type-C端子とスピーカー。画面上部の受話口も音楽再生などに使われ、ステレオ再生ができる仕様です。低音のボリュームがあり、意外と聴ける音質でした。

スペック・動作:「これで十分」な快適さ

Pixel 4aのスペック表
SoCSnapdragon 730G
メモリ(RAM)6GB
内部ストレージ(ROM)128GB
外部ストレージ×
画面サイズ・方式5.8インチ 有機EL
画面解像度2340×1080(FHD+)
バッテリー3140mAh
充電端子USB Type-C
OSAndroid 10→Android 11
アウトカメラ約1220万画素 F1.7
インカメラ約800万画素 F2.0
サイズ約144.0×69.4×8.2mm
重量約143g

発表時にはSnapdragon 730搭載とされており、発売直前に情報が更新されてSnapdragon 730Gに。あまり変わらないといえば変わらないのですが、情報が混在しているものの正しくは730Gです。

ベンチマークスコア(Geekbench 5)

ベンチマークスコア(3DMark)

前モデルのPixel 3aも動作は良好でしたが、今回も期待を裏切らない出来。メモリが6GBに増えたことで、満足できる人はより増えたのではないかなと思います。普段使いではストレスを感じず、「これで十分」なミドルレンジ機です。

バッテリーは相変わらず少なめで、最適化で持ち時間を稼ぐiPhone的アプローチ。4G端末ですし大きな問題はないと感じます。


日本版は「G025M」というモデルで、LTEの対応バンドはBand 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28/38/39/40/41/42/66。eSIMも利用できます。

また、楽天モバイル(物理SIM)での利用も試してみましたが問題ありませんでした。APN設定をしたりLTE Onlyにしたりといった手間もなく、SIMカードを入れたら自動で接続されました。

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UI・機能:「Pixel First features」に注目


誤解されがちですが、純粋なリファレンス端末だったNexusシリーズとは違い、Pixelシリーズは完全に素のAndroidというわけではありません(他社端末と比べれば限りなく素に近いことは否定しませんが)。意外とPixelだけの機能もあります。

ちなみに、端末を握って操作する「Active Edge」はとうとう廃止されました。Pixel 2から搭載されており、HTCの開発チームを引き抜いた流れを感じる機能で(HTCのEdge Senseに似ている)嫌いじゃなかったんですけどね……残念。

独自機能とは少し違いますが、Android 11配信直後のいま、注目すべきは「Pixel First features」と呼ばれる機能群です。これはAndroid 11の新機能のうち、他社端末にはすぐに提供されず最初はPixelだけに出しますよ、という機能のこと。OSベンダーが自前で売る端末ならではの禁じ手のような技です。

Android 11自体、ユーザーの目に触れる部分の変化はあまり大きくないバージョンなので、Pixelに先行提供される機能も「この機能のためにPixelを買いたい!」と思えるようなキラー機能があるわけではありません。

地味な変化ではありますが、ホーム画面のドック部分を空けておくと使用頻度が高いアプリが自動で出たり、アプリ一覧からスクリーンショットを撮れたり、ホーム画面でフォルダを作るとアプリの種類から自動でフォルダ名が付いたり、いつもと少しだけ違う動作を発見できます。

あまり具体的なスクリーンショットを載せるわけにもいかないので紹介しにくいのですが、Googleマップの位置共有にAR表示が付くのは待ち合わせに便利。やっていること自体は昨年登場したARナビと同じだと思うので、一般開放されるのが待ち遠しい機能です(自分だけ使えてもね……)。

ちなみに、Pixel限定ではないAndroid 11の新機能としては「イーサネットテザリング」などがあります。USBではなくLANケーブルを使った有線テザリングができるというもので、かなりニッチですがおそらく5G端末向け……?

Pixelの壁紙アプリはPlayストアで一般公開されていますが、一部のデザインはPixel限定となっています。Pixel 4aはシリーズ初のパンチホールということもあって、インカメラの黒い丸をデザインとして活かすポップなイラストの壁紙が追加されたほか、初期設定されている「Eclipse」というライブ壁紙もシンプルながら凝ったものです。

一見ただの青~黒のグラデーションがかかった壁紙なのですが、実は電池残量に連動して黒い部分が増えます。見た目の変化が楽しめるだけでなく、有機ELを採用した端末なのでわずかながらバッテリー残量の節約にもなりそうですね。

カメラ:Pixelらしく良い写り


Pixel 4aは約1220万画素 F1.7のシングルカメラ。でも、多眼化の流れには乗らずソフトウェアの力で勝負してきたPixelのカメラですから、「上位機種はデュアルカメラなのに4aはシングルカメラ」とスペックだけを見て優劣を付けようとしても仕方がありません。そもそも、2個あったら2倍キレイに撮れるわけでもありませんしね。

実際にPixel 4aで撮った写真を見ながら評価していきましょう。以下、作例はクリックして大きいサイズで見られます。サイトの仕様上、元サイズではありませんのでご了承ください。

屋外では色味も良いですし細部の乱れも少なく、さすがPixelといったところ。

ただ、屋内での不安定さが少し気になりました。上の作例は比較的まともに撮れたものを選びましたが、ホワイトバランスがおかしかったり、暗めに写ってしまったりと、ご飯を美味しそうに撮るカメラとしては意外にもイマイチ。特に「黒っぽい食器」と「自然光が混ざる席」に弱いです。

続いて、デジタルズームのテスト。左から標準(77度、35mm判換算でざっくり28mmぐらい)、2倍、7倍です。最大の7倍まで拡大するとさすがにぼやけて粗く見えますが、2倍程度までならうまく処理されていて実用可能な範囲ではないでしょうか。

夜景はやっぱり良く撮れますね。不自然に空が白っぽくなることもなく、華やかさも出て良い塩梅です。ちなみにこれぐらいの明るさだと夜景モードは不要で、使ってみてもほぼ同じ仕上がりでした。

総評:バランスの取れた万人向けの1台


発表・発売時期がずれた(らしい)おかげで、5G版やPixel 5の発売を目前に控えるタイミングでの登場となってしまいましたし、大画面版の「XL」もなければカラーバリエーションもなく、脇役になってしまった印象を受けます。

しかし、ミーハー的な盛り上がりではなく本当に5Gを必要としているミドルレンジユーザーがどれだけいるのか、価格に見合う性能差があるのかなどを考えると、本当に求められているミドルレンジ機は5G版ではなくこちらではないでしょうか。

あと、これはあまり言いたくないのですが……3世代も4世代も、上位機種より廉価版の“a”のほうが出来が良いのは皮肉なものです(発熱とか電池持ちとか、3に関しては動作も)。Pixel 4a 5GやPixel 5の影に隠れることになりそうなのはさておき、Pixel 4aは完成度が高くおすすめできるミドルレンジスマートフォンです。

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