
実売1万円以下のAndroid 10 Go Edition搭載タブレット「Teclast P10SE」レビュー
※本記事はメーカー様からサンプル提供を受けて執筆しております。なお、金銭の授受およびレビュー内容への干渉は一切ありません。
中国のタブレットメーカー、Teclastさんから最新モデル「Teclast P10SE」のサンプルをご提供いただき、使ってみたので紹介します。
「Teclast P10SE」ってどんな機種?
Teclastは、安くて遊べる中華タブレットがマニアのおもちゃとして盛り上がっていたAndroid黎明期から続いているメーカーです。最近はWindowsの格安2in1タブレットで名前を見かけることが多いかも。
今回紹介する「Teclast P10SE」は2020年8月に発表されたばかりの最新機種ですが、早くもAmazon.co.jp(マーケットプレイス)で公式に販売されています。Teclastの現行Androidタブレットの中でも特に安く、実売価格は1万円を切ります。
スペックは価格相応に低めですが、ナローベゼルで今風なデザインのメタルボディに、Android 10 Go Editionを搭載。安価でそこそこ使えるエントリーモデルという位置付けです。
開封・付属品チェック
ひとまず開封して中身をチェック。パッケージは共通化してコストを抑えているのか、P10SEと記載されてはいないようです。
タブレット本体のほか、USB Type-Cケーブルと充電器が付属します。説明書は日本語のページも用意されています。充電器はPSEマークが見当たらず……手持ちの物を使いました。
外観:いまどきのベゼルレスな10インチタブレットって小さい!
続いて、本体の外観を見てみましょう。10.1インチ液晶ですが、ナローベゼルなので一昔前の機種と比べると本体サイズは小ぶりです(約242×163mm:実測値)。今時の10インチタブレットって意外とコンパクトなんだなぁと思うと同時に、それが低価格帯の製品にまで及んでいるのはすごいな、と。
白いベゼルは清潔感があり好印象ですが、フレームと微妙に色が合っておらず、肉眼で見るとちょっと青っぽい感じ。まあ、この価格帯の製品にそこまで求めるのはナンセンスでしょう。
画面にはあらかじめ保護フィルムが貼られています。指滑りの良いフィルムとは言えませんが、剥がした状態でも使ってみたところ、ガラスのコーティングも価格相応なので「剥がしたら操作性が良くなった!」というほどの差はなく、とりあえず貼ったまま使うのが良いかなと思いました。
背面は金属製です。前面はとても今風のデザインでしたが、背面を見るとボタンや端子の説明が細かく入っている感じが「あぁ、あの頃の中華タブのままだ」とどこか懐かしい気持ちに。
カメラ部分はコイン1枚分ぐらいの突起があります。オマケ程度の画質ですし、これのために平らな場所に置いて使いにくくなるのはタブレット端末としてはちょっといただけないかなぁ……。
下の方に技適マークらしき物が書かれていますが、番号なしでマークだけ記載しても無効なのでこの表記方法では意味がありません。電磁的表示(設定画面など)で代用しているというわけでもないようです。PSEマークの件といい、一応メーカー公式のルートで日本で売っている製品である以上はちゃんとして欲しいですね。
話を戻しましょう。側面は半分ぐらいまで背面の金属パネルが回り込んでおり、手に取った時に薄く感じる作りです。
電源ボタン、音量キー、イヤホンジャックは右上にまとめて配置。
充電端子はUSB Type-Cで、こちらもやはり右上にあります。基板配置などコスト上の都合で1ヶ所に集めるのはこの価格帯の製品ではよくあることなので、おそらくそうなのだろうと思いますが、上側に端子があるのは充電しながら使いたい時に意外と便利です。
スペック・動作:快適とは言いがたい最低ライン
Teclast P10SEのスペック表 | |
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SoC | Unisoc SC7731E |
メモリ(RAM) | 2GB |
内部ストレージ(ROM) | 32GB |
外部ストレージ | microSD(上限不明) |
画面サイズ・方式 | 10.1インチ IPS液晶 |
画面解像度 | 1280×800(WXGA、16:10) |
バッテリー | 5000mAh |
充電端子 | USB Type-C |
OS | Android 10 Go Edition |
日本市場ではまず見かけないUnisocのCortex-A7クアッドコアCPUを搭載しているのは珍しい点。メモリ2GBと現行製品としては最低ラインのスペックで、動作には期待しない方が良いでしょう。いつもならGeekbench 5のスコアを載せるところですが、完走できなかったので省略します。
ニュアンスとしては「メールとネットぐらいしか使わないなら良いんじゃない?」という決まり文句よりもう1ランク下。動画再生も何かしらの「低スペックでもなんとかなる用途」がはっきり定まっている人向けで、漠然と安いタブレットが欲しいという人にはおすすめできません。
動作速度以外で気になった点としては、ディスプレイにちょっとした欠点があります。
この価格帯にしてIPS液晶なので表示品質は悪くありませんし、16:9ではなく16:10なので狭苦しく感じません。決して悪いディスプレイだとは思わないのですが、斜めから見るとどこか違和感があります。
違和感の正体は何かというと、表面のガラスと中の液晶パネルのギャップが非常に大きいのです。上から見るとステータスバーがベゼルに隠れて見えないほど。IPS液晶なのでパネル自体の視野角は良好なのですが、これだけギャップが大きいと斜めから見た時にはガラスの反射でかなり見にくくなります。斜めから見ることが多い用途、たとえばカーナビ用などには不向きだと思います。
UI・機能:ほぼ素のAndroid、Go Editionは目新しい
UIはほぼ素のAndroidです。この手の端末としてはOSバージョンは新しめで、Android 10を搭載。発展途上国向けのローエンド端末などで使われる軽量版の「Go Edition」を採用しています。
目に見える部分での違いとしては、プリインストールされるGoogleアプリの一部が低速回線での利用に配慮したものに変更されています。Googleフォトの代わりに「Gallery Go」というオフラインのギャラリーアプリが入っていたり、細かい部分が色々違います。
メーカー独自のカスタマイズとしては、ナビゲーションバーを一時的に非表示にする機能やタッチ操作で簡単にスクリーンショットを撮れる機能が追加されていました。
内部的には画面は縦向きが標準になっているようで、一部のアプリが強制回転されてしまうのはタブレットとしての使い勝手を考えると惜しい部分です。
まとめ:割り切りが必要、用途がはっきりしている人向け
結論としては、かなり割り切りが必要な機種なので、右も左も分からずとにかく安い物が欲しいというタブレット初心者が手を出すのはおすすめしません。
どうしても予算1万円という縛りがあるのであれば、中古のキャリア端末(dtabシリーズなど)を選ぶか、PlayストアではなくAmazonアプリストアで事足りるようであればFireシリーズが無難でしょう。
この製品に限ったことではないのですが、限界まで切り詰めた最安クラスのエントリーモデルを適材適所で使うのは割と知識がいることです(エントリーとは一体……)。「安価でGoogleサービスが最低限動いてOSバージョンが新しいタブレット」を何かしらの用途で必要としている人なら良い買い物になるのではないでしょうか。
Source:公式サイト