
【BROMPTON S1E】1速仕様のBB交換は効果抜群
暑すぎて自転車に乗りたくはない、でも何かしたい……そんなわけで、カスタムが捗るのは自然なことです(2回目)。


と、訳の分からないことを言いながらパナモリとBROMPTONの2台をあれこれカスタムしていますが、今回はBROMPTON編。
なお、「暑いから乗らずにカスタムしよう」といって弄ると、試走したくなって結局暑いという矛盾は無視します。
私のBROMPTONは、カタログモデルには存在しない「S1E」仕様のセミオーダー車。輪行中のトラブルの少なさや軽さを重視したあえての1速仕様、変速機なしのシングルスピードです。
BROMPTONを1速仕様でオーダーすると、ギア比を指定しない限りはフロント54T、リア12Tになります。2速(S2Lなど)の重い方のギアと同じです。
一応、注文前にS2Lに試乗してみてこのギア比でも大丈夫だろうと判断しましたし、橋やアンダーパスなどの短距離で高低差のある場所は休むダンシングで難なく上れます。平地でのスピードも大変心地良いものです。
ただ、重めのギア比なのでちょっとした傾斜でもはっきりと体感できるのは事実。もう少し楽をしたい場面もあるけれど、スピードを犠牲にしてまでチェーンリングを50Tや52Tに小さくするほどでは……という微妙なラインです。言い換えれば、それだけ純正のギア比が絶妙なバランスだということでもあります。
ギア比は変えずにペダリングを軽くしたい、ということでBB(ボトムブラケット)に目が行きました(※ほぼ見えませんが、写真は交換後に撮ったものです)。BROMPTONの純正BBは樹脂製シェルのいかにも安物といった頼りない物で、重要な回転部ですからここをアップデートするのはそれなりに効果がありそうです。
リサーチしてみると、純正クランクのまま(スクエアテーパーのまま)BBだけを変えるなら、タンゲの「LN-7922」、TOKENの「TK866TBT」「TK868TBT」が定番とのこと。
ちなみに、BROMPTONの純正BBの軸長は119mmというマイナーなサイズで、市販品なら118mmを選べば実用上問題ありません。某有名小径車専門ショップがTK868TBTの119mm版を特注販売しているので、値は張りますが、こだわる人はそちらを選べば完璧。
安く抑えるならLN-7922ですが、違いを実感できなければかえって無駄な出費になってしまうだろうと思い除外。TK866TBTとTK868TBTの違いは「上位モデルのTK868TBTはチタン軸で軽い」という程度なので、スーパーライトモデル(Xモデル)ではない素のBROMPTONの軽量化にあまりお金を注ぎ込むのも不毛だろうと「TK866TBT」を選びました。かかった費用は約1万円+工賃といったところです。
BB交換自体はやろうと思えば自分でできなくもない作業ですが、そもそもフレーム側の処理が純正の樹脂製BBを前提にしている(多少の誤差は吸収される前提で仕上げられている)ためあまり精度が出ていないので、高精度なBBに交換しようとするとタッピングが必要、つまりフレームのネジ山を整える必要があります。
タッピングに使う工具は非常に高価ですし、失敗するとフレームが使い物にならなくなるので、よっぽどたくさん自転車を持っていて頻繁にやる人以外はお店に頼むのが無難でしょう。
BB交換後のBROMPTONに乗ってみると、想像以上に違いを感じられました。漕いでいる感覚としては「50Tに変えたんだっけ?」というぐらい軽いのに、出ているスピードは54Tのままという不思議な感覚です。
もし6速のBROMPTONに乗っているならそこまで優先度が高くはない、というよりこんなところにまで手を出し始めたらだいぶ重症な沼の住人だと思いますが、1速や2速ならやる価値は大いにあるカスタムだと思います。
私は元々「走行性能はフツーだけど超便利な自転車」という認識でBROMPTONを買ったので、スポーツサイクルのような走行性能は一切期待していませんでした。コンパクトに折り畳めるBROMPTONでしかできない使い方ができればそれで十分、と思っていたのですが、前回のハンドル交換と今回のBB交換で走りもしっくり来るようになり、だいぶ総合的な満足度が上がりました。