Galaxy S20で廃止された「デュアルアパチャー」とはなんだったのか

年々進化していくハイエンドスマートフォンの中でも、ここ数年はカメラ機能が特に激戦区です。

数年前まではモバイル向けのイメージセンサーでは考えられなかったような大型・高画素数の最新センサーが投入されたり、望遠レンズをペリスコープ構造にして限られたスペースに押し込んでみたり、役割の違うカメラをいくつも搭載してみたり……すべてのアイデアが本当により良い体験をもたらしているかどうかはさておき、各社が試行錯誤してしのぎを削っているテーマであることは確かです。

発展の影には、消えていく技術やアイデアもあります。たとえば、サムスンには「Galaxy S9」から「Galaxy Note10+」や「Galaxy Fold」まで、2年分のハイエンドモデルに搭載され続けた「デュアルアパチャー」という仕組みがありましたが、2020年の「Galaxy S20」や「Galaxy Z Flip」では封印されました。デュアルアパチャーとは何者で、なぜ不要と判断されたのでしょうか。


デュアルアパチャーは「可変絞り機構」、つまりレンズが光を取り込む量を調節できる仕組みでした。“デュアル”という名の通り、F1.5とF2.4の2段階で切り替えることができます。

コンパクトデジタルカメラでも、一眼レフやミラーレスでも、携帯電話以外のカメラのレンズは絞り機構が付いている物がほとんどです(アクションカメラは例外的にF値固定が主流)。ただ、スマートフォンで絞りを変えられる機種というのはほとんどありません。

可変絞りにすれば、暗い場所では絞りを開放してたくさん光を取り込み、その分だけ感度を下げてノイズを減らせます。十分に明るい場所では絞り込んで被写界深度を深くすることで、ピントの合う範囲が広くなって鮮明に撮影できます。


そう聞くと、スマートフォンのカメラにも搭載されるべき仕組みのように思えるかもしれません。しかし残念ながら、F1.5からF2.4という1段強しか絞れない簡易絞り機構があっても、スマートフォンに搭載できる程度のセンサーサイズでは明確に効果を実感できるほどの被写界深度の変化はありません。

開放で明るく撮れるということに関しても、元々開放で撮る前提でF2を切るような明るいレンズが当たり前に搭載されているジャンルですし、そもそもデュアルアパチャーを搭載することと明るいレンズを搭載することは別の話です。

結論としては、現状ではデュアルアパチャーが画質や撮影体験に与える効果はコストに見合うほど大きくはなかった、あるいは画像処理など他のアプローチで解決する方が合理的だったということでしょう。

ただ、スマートフォンのカメラユニットという極めて限られたスペースに組み込める簡易的な絞り機構を開発できたこと自体には意味があると思います。今は無用の長物でも、もし今よりも大きなイメージセンサーを搭載する方向で進化していけば「省スペースな絞り機構」を必要とする時期が来るでしょう。その時、一歩リードするのはサムスンになるはずです。

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