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Galaxy S20/S20+に望遠レンズは搭載されていないという事実

Galaxy S20は超広角+広角+望遠のトリプルカメラで、S20+は深度カメラを追加したクアッドカメラ。これは各カメラの目的という意味では正しいのですが、スペックをよく見ると妙なことに気付きます。


深度カメラ以外の3つはS20でもS20+でも共通なのでまとめて見ていくと、超広角カメラは約1200万画素、画角は120度。広角カメラは約1200万画素の1/1.76インチセンサーでデュアルピクセルAFと光学式手ぶれ補正に対応し、画角は79度。そして望遠カメラは約6400万画素で、画角は76度……?

そう、望遠用とされている3番目のカメラの画角は、広角担当のメインカメラの画角とほとんど変わらないのです。S20の望遠カメラは「望遠レンズが搭載されているカメラ」ではなく、あくまで「望遠撮影を担当するカメラ」です。


(Galaxy S20の3倍相当で撮影 ※クリックで拡大可能)

では、光学的には広角のレンズを搭載しているカメラで、どうやって望遠撮影をしているのでしょう?それは約6400万画素という画素数の多いセンサーを望遠用に割り当てていることとも関係しています。

通常、トリプルカメラのスマートフォンのセンサー配置を見ると、最も高コストな(そして往々にして高画素数志向な)目玉のセンサーは、利用頻度の高い広角域のメインカメラに使われていることがほとんどです。S20/S20+ではあえて、高画素センサーは「画像の一部を切り出す」使い方に適しているという実利を優先して、クロップ前提で6400万画素のセンサーを望遠用に使っています。

乱暴な言い方をすれば、「6400万画素で撮れば、中央の一部を切り出しても1600万画素や800万画素クラスにはなるじゃない」という考え方ですね。実際はセンサーサイズと画素密度の問題、搭載できるレンズの性能の限界などもあるのでそう単純な話ではありませんが、一理あるコンセプトです。


高画素センサー+広角レンズで撮った写真をクロップして画像処理技術と組み合わせることで、柔軟に対応できる“望遠役”のカメラにするというコンセプトは悪くないと思いますし、実際の写りにも違和感は少なく良い出来です。ただ、これを「ハイブリッド光学ズーム」と呼ぶのはいかがなものでしょうか。どこも“光学”ではありませんよね?

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