王道の魅力は健在、13インチだからと「ThinkPad X390」をスルーしたことを今さら後悔

※今回は、レノボ・ジャパン様より実機をお借りしてレビュー記事を執筆しております。

一昔前なら、ThinkPadをモバイルする人々は同じ“ThinkPad教”でも2大宗派に分かれていました。リアルモバイルであるXシリーズ派と、14インチ以上で高性能な作業環境と一定の可搬性を両立させたTシリーズ派です。

近年はXシリーズ(から派生したX1シリーズ)でありながら14インチ、それでいて13インチクラス並みのフットプリントの小ささと軽さを誇る「X1 Carbon」などが登場して状況が変わり、もはやそんな派閥も見聞きしなくなりましたが、私はXシリーズから入ったクチです。どこにでも気兼ねなく持って行ける耐久性と扱いやすいサイズ、快適に作業をこなせるパフォーマンスとThinkPadならではのキーボード。どれが欠けても、最高の道具であるXシリーズではないと思っています。

そんなわけで、2019年モデルの「ThinkPad X390」で12.5インチから13.3インチに拡大されると聞いた時は耳を疑いました。かつてのX300やX1のような高級路線の派生シリーズではなく、本家Xが伝統の12インチを捨てる日がついに来てしまったか、と。もちろん、いつまでも少数派の12.5インチであり続けるのは難しいと分かっていました。コスト的にも需要的にも、もはや今となっては不利でしょう。しかし、前機種の「ThinkPad X280」が5世代ぶりの完全新規設計で今風の装いになったばかりだっただけに、もうしばらくはこのまま続いていくだろうと思っていたのでまさに青天の霹靂でした。


「Xシリーズらしさ」を追い求めるあまり、X390は買わずにスルーしてしまったのですが、改めて使ってみるとやはりX390もれっきとしたXシリーズの一員です。まあ、昔ながらのThinkPadらしさとか言い出すと、「そもそも画面は16:9じゃちょっと……」「やっぱりメモリやストレージやバッテリーは自分で交換できないと……」「クラシックドームとソフトリムを返してくれ」という話になってしまいますからね。

画面サイズが少し大きくなるのはモデルネームにも反映されるので(X2**からX3**に)一見大きなことのように見えますが、時代に沿った形で伝統を受け継いでいく支障にはならない変化でしょう。X1シリーズほどではないものの画面周りの余白が少ない今風のデザインになったので、X280と比べれば縦横数mmずつ大きくなったとはいえ、X240~X270までのボディーと比べればはるかにコンパクト。1年で買い換える人以外は「大きくなった」とは感じないはずです。

長々と熱く語ってしまいましたが、要するに「13インチにはなったけどちゃんとXシリーズだよ」ということです。いくら最近の下位モデルのレベルが高いといっても、この剛性感や作りの良さはやはりヘビーユーザーの厳しい目で評価されてきたXシリーズならではですし、一見“スモールX1 Carbon”のような作りですがシンプルで飾らないデザインは王道ビジネスモバイルノートの風格を漂わせます。

シルエットだけを見れば今風の薄型モバイルノートですし、X270までのようなゴツさは影をひそめ、薄くて軽いPCに仕上がっています。それでいてXらしい質の良さを感じられるという一見矛盾した要素をはらんだ独特の存在感は、X280を初めて手にした時の新鮮な驚きと何ら変わりませんでした。


実際に使ってみて「なるほど、これは確かにXシリーズだ」と再認識できた上で、では最新のXシリーズとしてどうなのか?と問われると、元X280ユーザーとしては良くも悪くもX280と変わらないという印象。画面サイズが大きくなったのは個人的には使いやすかったです。これは設定や視力など人それぞれだと思いますが、12.5インチでフルHDの100%表示だと「もうちょっとだけ大きくしたい」と思う場面があり、13インチのほうがディスプレイ解像度とのバランスは良いように感じました。

もちろん、X270からX280への変化は大きかったのでX270以前の機種を愛用している人からすればやはり何か違う、という感想も出てくるとは思います。ただ一言添えるなら、X280を購入して使ったり、今回X390をお借りして使ったりする中で、普通のイマドキの薄型ノートっぽい形になって拡張性が下がって不便だ、と思うことは個人的にはあまりありませんでした。強いて言えばフルサイズのSDカードスロットが無くなって少し困る程度。


バッテリーの着脱はできませんが一昔前のノートPCより電池持ちは良いですし、USB PDが普及したおかげで大荷物を背負わずともサクッと再充電できる方法はたくさんあります。画面出力もHDMI端子は残されているのでなんとかなる場面が多いはず。最悪、変換ケーブルを1本持てば良い話です。

出先ではなく自宅のディスプレイに出力する人は、ケーブル1本で充電も画面出力もできる最新モニターを合わせて導入するのがおすすめ。私が使っているモニターは「ThinkVision P24h-10」という少し前の機種ですが、帰宅したらUSB Type-Cケーブルを接続するだけでOKというのは非常に快適です。


なんだかんだ言ってX390も良い機種だなと思う一方、キーボードには若干の不満も。薄型ノートとしては深めのキーストロークでしっかりとした打ち心地は、さすがThinkPad。そこは期待を裏切らない出来ですが、レイアウトに不満があるのです。X240~X280の「右側の記号キーの一部が小さくてキーピッチが不均等」という問題も受け継がれてしまっていますし、妙に細い無変換・変換キーも気になります。ボディサイズは若干大きくなりましたが、もう少し横方向にキーボードを広げる余裕はないものでしょうか。


X1 CarbonはX1 Carbonで良い製品なのですが、やはりモバイルするならフットプリントが小さい方が助かる場面は多いです。たとえばテーブルのない場所で膝に置いて使ったり、列車の狭いテーブルに置いたり……重さはX1 Carbonとそう変わらなくても、こっちのサイズ感が好きかもと改めて思いました。

1週間ほど試用して「なんだ!思ったより今まで通りのXシリーズじゃん!買えば良かった!」と1年越しに後悔しています。第10世代Core iシリーズ搭載モデルも発売されましたし、まだ後継機の話も聞こえてこないので、今からでも買っちゃおうかな?と思案中です。

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