ファーウェイとASUSの二強時代が終わる?2020年のSIMフリースマホ市場はこう変わる

日本でSIMフリースマートフォン市場が本格的に形成され始めてから早数年、国内SIMフリー市場におけるシェアは、ファーウェイとASUSの二強時代が続いていました。ところが、2019年に入ってそれぞれ別の問題に直面しており、2020年前半にかけて大きなシェアの変動が予想されます。

首位のファーウェイは先行き不透明

HUAWEI P30

まず、首位のファーウェイは米中貿易摩擦に端を発する制裁措置で先行きが不透明な状況です。

現状を簡単に整理しておくと、P30シリーズなど、既にGMS認証を取得してPlayストアなどのGoogleアプリを搭載した状態で販売されている機種に関しては当面の影響はありませんが、今後の新機種投入においては特にGoogleとの取引が大きな壁となります。

実際、例年であればこの時期には投入されていたであろうMate 30シリーズは、今のところ日本では音沙汰なし。もちろん、GMSを捨てて中国版と同じように自社の独自エコシステム(HMS)だけの状態で投入することは可能と考えられますが、市場環境を考えるとあまり現実的ではありません。

11月末に日本市場に投入された「nova 5T」は、海外でMate 30シリーズよりも先に発売されていたため、“GMSあり”で出せる貴重な手札。制裁の手が緩まない限り、新機種を出すに出せない2020年前半の戦況は厳しくなるでしょう。

方針の変化でチャンスを逃したASUS

最大のライバルがピンチに陥っている今、二番手のASUSは攻め時のようにも思えますが、実はこちらもまったく別の理由で手札がない状況。

日本ではそれなりのポジションを取れているものの、台湾のASUS本社にとってはスマートフォンは不採算事業。選択と集中で「もう利益率の高いハイエンドしかやらない」というのが台湾本社の方針です。

日本市場にもフラッグシップモデルの「ZenFone 6」とゲーミングスマホの「ROG Phone II」が投入され、ポジティブに捉えれば、ファーウェイのラインナップのうちPシリーズやMateシリーズの上位機種を使ってきたユーザーにはアプローチできる可能性はあります。

しかし、そもそも日本のSIMフリー市場でZenFoneシリーズがポジションを確立できたのは決してその価格帯の話ではなく、本社の方針とは反対に「格安スマホ」と呼ばれてきた低~中価格帯こそが日本におけるASUSの勝負どころ。

そんなわけで、「チャンスなのに売る物がない」ASUS JAPANの方々は歯がゆい思いをされているのではないかと思います。

2019年後半は日本市場に持ち込んで勝負できるボリュームゾーンの価格帯の機種がなくなってしまったので、3月に発売した「ZenFone Max(M2)」のストレージを増やしたり、「ZenFone Max Pro(M2)」のRAMを増やしたり、こちらもなかなか厳しい延命策を強いられている状況です。

次の二強はシャープとOPPOか

数年間シェアを握ってきた二強のメーカーが、理由は違えど売るに売れない状況にあるわけで、その他のメーカーにとっては絶好のチャンスです。

では、このチャンスをどのメーカーが掴むのか。私はシャープとOPPOだろうと予想します。


(※この画像だけSIMフリー版ではありませんがご容赦ください)

シャープはこれまでも三番手につけていましたが、「国産メーカーのブランド力だけで特定の層に売れている割高な機種」が多かったSIMフリー参入初期からすると、鴻海による買収からの再建の中で劇的に競争力が増した印象です。数年前と変わらない姿勢が透けて見える「arrows M05」とは対照的。

年を追うごとにスペックと価格のバランスも海外メーカーと勝負できるレベルに近付いてきていますし、普及価格帯の機種でも防水などの機能をしっかり押さえているあたりは日本市場のニーズをよく知っているメーカーならでは。アップデートに対する姿勢の変化など、良い意味で日本の大手メーカーらしさが抜けましたね。主力のAQUOS senseシリーズはキャリア向けも含めて一大勢力に成長しています。

では、もうひとつの有力候補として挙げたOPPOはどうでしょうか。2018年2月に発売された日本参入第一弾の「R11s」こそ掴みどころがない製品でしたが、同年の夏に第二弾として投入した「R15 Pro」では、防水やFeliCaという日本市場特有のニーズをキャッチアップ。「郷に入っては郷に従う」というか、市場への順応が非常に速いメーカーだなと驚きました。

R15 Proがすごく売れたかといえば残念ながらそんなことはないのですが、日本での躍進のきっかけとなるのはやはり、直近の新機種であり好調な滑り出しを見せた日本専用モデル「Reno A」でしょう。日本参入から2年も経たないメーカーが、この特殊な市場であれだけ性能、機能、価格(そしてマーケティング)の全方位でユーザーに刺さる物を作ってきたというのは驚異的です。

Reno Aの影に隠れてしまっている感もありますが、A5 2020もかなり訴求力のある商品ですよね。個人的に、今後のOPPOの動きには注目しています。シャープとのSIMフリー市場におけるシェア逆転もあり得ない話ではないのではないでしょうか。

長々と書き連ねてきましたが、結論としては「ファーウェイとASUSが沈み、シャープとOPPOが上位に躍り出る」というのが、2020年前半の日本のSIMフリー市場についての私の見解です。

Xiaomi参入は現時点では大勢に影響はない

最後に、こんなツッコミがあるかもしれないので少しだけ触れておきましょう。「おいおい、あのXiaomiが日本に来たのに勘定に入れないなんてモグリか?」と。

確かに世界シェアを見れば「Xiaomiが日本にやってくる」というのは市場に大きな影響を与えそうな出来事ですが、それを言ったら1年目のOPPOだってもっと伸びていそうなものです。グローバルで売れている物をただ持ち込むだけで売れるほど単純な市場ではないと考えています。少なくとも、2020年初頭にXiaomiの参入が大勢に影響を与えることはないでしょう。

“1億画素のカメラ”という強烈なインパクトのある機種を最初に持ってきたのは認知度を上げる意味ではそれなりに効果があると思いますが、その「Mi Note 10」自体が売れるかといえば、カメラ以外の魅力の乏しさや日本のSIMフリー市場におけるボリュームゾーンからは少し外れた価格帯であること、そして何より販路をあまり開拓できていないことから、爆発的に売れるとは考えにくいです。

Xiaomiが日本でシェアを獲得できるかどうかは、OPPO参入時のように、二手目を打つまでにどれだけ日本市場のニーズを理解できるかにかかっていると思います。

一方で、Xiaomiは比較的安価にハイスペックな端末を供給するのが得意なメーカーでもあります。ハード以外で利益を上げるのが難しい日本市場でその強みを発揮できるのかはともかく……。SIMフリー市場の話からは逸れますが、「これから5Gをやるのにハイエンド端末を売りにくくなってしまった」という日本の市場環境は、Xiaomiには有利に働くかもしれませんね。

「AQUOS sense3」をAmazonで見る 「OPPO Reno A」をAmazonで見る

MVNOにも同時期に5Gを――総務省がMNO3社に要請

Cosmo Communicator出資者に悲報、リンクスより後に出資した人はしばらく待ちぼうけを食らうかも

関連記事

  1. ミニマルだけど意外と実用的、Androidホーム…

    たまには気分転換にAndroidスマホのホーム画面をリフレッシュしたい、でも…

  2. 総務省対策の上手さに舌を巻く、歴戦のソフトバンク…

    ソフトバンクは9月9日、電気通信事業法改正などの一連の制度改正にあわせて手直…

  3. 軽すぎて「実際の商品と同等の重さです」とわざわざ…

    1月17日からようやくドコモ版のみ予約受付が始まった、冬モデルのトリを飾る「…

  4. 「Rakuten Mini」の製造元、Tinno…

    いつ発売されるのかは不明ですが、楽天モバイルが2019年9月に発表した独自端…

  5. 楽天モバイルが「Rakuten Mini」を今す…

    楽天モバイルは、5,000名限定の「無料サポータープログラム」などを発表した…

  6. Pixelシリーズ+ソフトバンク系無制限SIMの…

    有象無象のさまざまな業者が販売している「ソフトバンク回線を使った謎の安いSI…

  7. 何をもって「標準レンズ」とするのか、スマホ時代の…

    近年、スマートフォンの世界ではデュアルカメラやトリプルカメラが普及、クアッド…

  8. 「5G」は日本でいつから始まる?最新動向を解説

    次世代のモバイル通信技術である「5G」には、「高速大容量」「多数同時接続」「…

PAGE TOP