
小型端末好きとしての原点――Xperia ray編【思い出のガジェット Advent Calendar 2019】
※この記事は、「思い出のガジェット Advent Calendar 2019」の8日目の記事です。

みなさんの思い出に残っているデジタルガジェットについて語ってもらおうというこの企画。私は12/7~9の3日間連続で書かせていただく予定です。昨日は初めて使ったAndroid端末「IS01」のことを語りましたが、今日の主役はこちら。
2011年に日本ではNTTドコモから発売された「Xperia ray」です。今のXperiaシリーズには一切特別な感情はありませんが、ソニー・エリクソン時代のXperiaは本当にかっこいいブランドだったんですよ……スペックは周回遅れでしたが。
Xperia rayはどんな機種だったのかというと、2011年のフラッグシップモデルだった「Xperia arc」の性能・機能の多くをそのままに、ギュッと凝縮したコンパクトモデル。後のZなんとかコンパクトやXZなんとかコンパクトの先祖のようなものでしょうか。
そもそも2011年のスマホなんて今見たら全部小さいじゃん、ということでリアルタイムに体感した人以外にはこの当時の感覚でいう「コンパクト」がどれくらいなのか伝わりにくいかもしれませんが、Xperia rayはちょうど「2つ折りのガラケーの片側だけ」のようなサイズ感。
約111×53mmという投影面積の小ささはもちろんのこと、「小さくしたらその分厚くなる、だからコンパクト機は野暮ったい」という昔も今も変わらない常識に反し、スリムでシンプルな美しいフォルムをしていたのも衝撃的でした。
当時の私のメイン端末は「Xperia acro SO-02C」、グローバルモデルのXperia arcをベースに日本向け機能を盛り込んだ機種でした。しかし、Xperia rayに惚れ込んで躊躇なく買い増し。当時、先にXperia rayを使っていた憧れのブロガー「ガジェットショット」のキリカさんに真っ先にウキウキで報告した記憶があります。
ここから“デザイン買い”という悪い癖がついてしまい、結局Xperia arcも翌春の安い時期に買ったものの、美しいアークラインを眺めて満足してしまい込んだのはまた別の話。




では、同じく“デザイン買い”だったXperia rayもあまり使わなかったのかというと、それはむしろ真逆。スペック不足を感じ始めても無理にでも長く使いたい機種でした。翌年まではメイン端末、2013年頃まではサブ端末のひとつとして持ち歩いていたと思います。「2年使った」とだけ言ってしまうと普通ですが、買い替え周期が異常に短いマニアにとって、それもスマートフォンの進化が今よりもずっと速く3Gから4Gへの移行期でもあったこの時期に、それでも「この機種を使いたい」と思えたのはこの機種ぐらい。
カラーバリエーションがどれも良い色なもので、白、白(海外版の黒いリアカバーに交換)、金、ピンクと4台も買ってしまったのですが、訳ありの買い物は別として、後にも先にもただ欲しいからという理由で同じ機種をこんなに買ったことはありません。
伝わるのか分からないマニアックな細かい話をしておくと、初期バージョンのソフトウェアだけにあった「ブラウン管が消える時みたいな画面消灯エフェクト」が大好きだったんですよね。アップデートで早々にarcやacroと同じ普通のエフェクトになってしまったときは大変がっかりしました。これを見たいがために、4台持っていた当時はわざわざアップデートを一切適用していない“保存用”を1つ残していたぐらい。
今も手元に残しているのは最初に買った個体で、長く使ったから……というより、スペック不足に耐えかねてROM焼きはもちろんオーバークロックまでして酷使していたせいでしょう、この記事の執筆前にいろいろと手を尽くしましたが残念ながらもう電源は入りませんでした。
最初はデザイン買いでしたが、使い込むうちにこのサイズが気に入って手放せなくなり、今でも小型端末には目がありません。実際に買うと、「今時のUIは小さい画面じゃ無理だ」という結論に至りがちなのですがね……特にiPhone SEを買った時は理想と現実のギャップを見せつけられました。IS01でキーボード付き端末、Xperia rayで小型端末というニッチな嗜好を植え付けられてしまったが故に、今でも「どこにも存在しない理想の端末」を求めて沼に沈み続けている気がします。