
日本の電動アシストに関する規制は本当に海外よりも厳しいのか?
電動アシスト自転車やe-bikeは、日本では「道路交通法施行規則」というルールの中で性能の上限が決められています。同様に、海外でも多くの国では何らかのルールが設けられています。そして、e-bikeの話題になるとよく言われるのが「日本だと規制が厳しくて強力なe-bikeは出せないから……」といった悲観的な意見。でも、本当にそうなのでしょうか。
結論から言えば、e-bikeの本場である欧州の基準と比べても、必ずしも日本のほうが厳しいとは言えないと私は考えています。というのも、制限している項目が違うため単純には比較できないのです。
日本の電動アシスト規制
日本の場合、電動アシスト自転車やe-bikeは法律上、「駆動補助機付自転車」と呼ばれます。人力を使わないフル電動自転車(glafitなど)の場合は原付扱いになるので、また別の話です。
原付ではなく駆動補助付自転車とみなされる条件はいくつかありますが、まず24km/hで完全にアシストが切れること。そして最大の特徴は、「速度が上がるにつれてアシスト比率が落ちていく」仕様を義務付けていること。10km/h以下では1:2(人力の2倍)までの補助が認められています。
意外かもしれませんが、日本ではモーターそのものには出力規制がありません。まあアシスト比率が決められているので、普通の人が乗る分には自然と出力の上限も決まってくる、ということでしょう。
海外の電動アシスト規制
EU基準では、上限速度は日本よりもわずかに速い25km/h。アシスト比率の上限はありませんが、モーターの出力は250Wまでです。なお、これとは別枠で免許必須となる代わりに45km/hまでのアシストが認められる枠があります。
欧州以外の基準にも軽く触れておくと、米国では32km/hまでの州が多いです。中国は20km/hまでと厳しめですが、その代わりにフル電動との区別がない(フル電動でも自転車扱いにできる)のは魅力。
日本仕様と欧州仕様のe-bikeではどう違う?
これを踏まえると、日本基準と欧州基準は一長一短。極端な話、日本仕様のe-bikeなら、プロ選手の脚力でも1:2のアシストができるような強力なモーターを搭載することも(その恩恵を受けられる人がいるかはさておき)理屈の上ではできるわけです。一方で、欧州仕様なら25km/hギリギリまでフルパワーを出したり、発進加速を何倍ものパワーでアシストしたりできる設計も考えられます。
どちらにせよ、基準内で限界ギリギリの仕様を攻めている高性能ユニットが続出しているような状況ではないので、今はまだ、上限を気にするよりも個々のユニットの性能を比較して選べば良いのではないでしょうか。