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何をもって「標準レンズ」とするのか、スマホ時代の「カメラの画角」の呼び方問題

近年、スマートフォンの世界ではデュアルカメラやトリプルカメラが普及、クアッドカメラを搭載する機種まで出てきています。複数のカメラを搭載する目的は、性質の違うサブカメラで補完することによる画質向上であったり、動画に特化したカメラを追加していたりとメーカーや機種によって様々ですが、特に多いのは「複数の画角を切り替えて撮影できる」というタイプです。

先日発表されたばかりの「iPhone 11 Pro」がまさにそうです。超広角、広角、望遠の3つのカメラを切り替えて撮影できます。便利ですね。

……こう言われると、「ふーん、そうなんだ」と特に違和感なく受け入れる人のほうが多いと思いますが、一方で「ちょっと待てよ」と言い出すカメラマニアもいます。なぜ彼らがこのような表現に違和感を覚えるかといえば、伝統的なカメラの世界における画角の呼び方と、スマートフォン業界における慣習的な呼び方が食い違っているからです。

カメラ業界における「標準」画角

カメラの世界では、「標準」と呼ばれるレンズの画角は35mm判換算で50mm前後であることが多いです。「広角」というとだいたい28mm以下あるいは24mm以下です。広義の「望遠」は85mm以上かと思いますが、105mmや135mmぐらいまでは「中望遠」といった呼び方をすることが多いので、望遠レンズと言われて思い浮かべる物(狭義の望遠レンズ)はもっと画角の狭いものでしょう。

各宗派で色々な論争があるので「これが正解」なんて恐ろしいことは私からは言えませんし、「諸説あります」としか言えませんが、カメラ好きとしての私の感覚ではこれぐらいです。

スマホ業界における画角の呼び方

まず、どこのメーカーでも、スマートフォンの「メインカメラ」の画角はカメラ界で言うところの広角寄りです。歴代iPhoneのメインカメラは換算28mmですし、「Xperia 1」は26mm。ややこしい表現ですが、スマホ界においては広角のほうがスタンダードな画角とも言えます。

問題は、そこに広角寄りまたは望遠寄りの2つ目のカメラが加わった時の呼び方です。先ほどのiPhone 11 Proの例では「超広角」「広角」「望遠」の3つのカメラを搭載していると書きましたね。これは私が考えた表現ではなく、公式サイトの表記に従いました。超広角と呼ばれているカメラは換算13mm、広角と呼ばれているメインカメラは26mm、望遠と呼ばれているものは52mmです。

つまり、この機種の場合は「望遠」とされているカメラの画角を見た時に、口うるさい知識マウントおじさんカメラオタクから「52mmなら標準では?」という意見が出てくるわけです。

同じようなことは今回のiPhoneに限らずおきていて、最近はそういう野暮で無意味なツッコミを回避するようになったのかだいぶ減りましたが、デュアルカメラ搭載機が出始めた頃などは「広角+標準」「標準+望遠」のような書き方をするメーカーが多々ありました。ここでいう「標準」はスマホ界における標準=カメラ界における広角のことです。

その頃からすると、2019年現在はもう「望遠」ぐらいしか両者の認識の齟齬はなくなってきているかもしれませんね。スマートフォンの望遠カメラの多くはカメラ界で言うところの標準、一部機種で中望遠というぐらいですから。

何をもって「標準」とするのか

しかし、だからといって厳密にそこの定義を当てはめると、トリプルカメラのスマートフォンで「超広角+広角+標準」なんて表現をすることになり、どれがメインカメラだか分かったものではありません。今使われているような表現(超広角+広角+望遠)が適度な落とし所なのではないかな、と私は思います。

長々と書いてきましたが、私の意見としてはスマートフォンのカメラにおける「標準」は換算28mm前後だと思います。そもそもユーザー層や利用シーンが違えば利用頻度の高いスタンダードな画角も違うのは当たり前。カメラ界における画角を表す言葉の定義だって、関わるすべての人が共通認識を持っているようなはっきりしたものではありません(だからこそ論争が起きるわけで)。標準画角が違うのなら、そこを基準にみた「広角」「望遠」の概念が変わってくるのも自然なことでしょう。

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