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総務省対策の上手さに舌を巻く、歴戦のソフトバンクらしい「半額サポート+」の奥深さ

ソフトバンクは9月9日、電気通信事業法改正などの一連の制度改正にあわせて手直しされた新しい割引プログラム「半額サポート+」を発表しました。

半額サポート+の概要をはじめに説明しておくと、まず端末を48ヶ月払いで購入してもらい、2年後に買い替える時に端末を回収する代わりに最大24回分の残債をチャラにしますよ、という仕組みの購入補助プログラムです。390円/月のプログラム利用料がかかるから半額にはならないじゃないか……というのはさておき、期間の違いはありますがドコモの「スマホおかえしプログラム」やauの「アップグレードプログラムEX」と同じようなものですね。

詳しい人はここで「おや?」と思うはずです。というのも、この10月に予定されている制度改正によって「通信と端末をセットにした割引は2万円まで」という制約ができ、このような端末の回収を前提としたプログラムでも、2年後の中古相場と下取保証額に2万円以上の差があれば過度な割引とみなされてしまうので本来はできないはずなのです。

ではなぜ、ソフトバンクはこのタイミングでこの内容の割引プログラムを出せるのか?それは、「通信契約を前提にしたものではない」という建前を用意したからです。

「ソフトバンクユーザー以外でも使える」というハッタリ

半額サポート+は通信契約を前提としたものではない、あくまで端末購入に対しての割引だというのがソフトバンクの言い分。このため、他社ユーザーが端末だけ買っても48回の割賦を組んで半額サポート+に加入できるようにします。ここまでは事実です。

ただ、この「ソフトバンクユーザー以外でも使える」という主張は額面通りには受け取れません。もし他社ユーザーがこのプログラムに魅力を感じて端末だけソフトバンクで買うとしたら、すぐにSIMロックを外せないと一部のMVNOユーザー以外はどうにもならないでしょう。しかし、あくまで「一括なら即日、分割なら101日目以降」というSIMロック解除の受付ルールは変わりません。

つまり、他社ユーザーの「半額サポート+」利用も受け付けるということ自体は事実。でも、本当に使おうとすると3ヶ月以上指をくわえて待つしかないので現実的ではないのです。

はっきり言ってしまえば、「ソフトバンクユーザー以外でも使える」というのは口実作りで、実質的には自社ユーザーだけのための、そして新制度でもこれまで通りの便宜をユーザーに提供できる方法を巧妙に編み出したわけです。

役所と戦わせたら右に出る者はいないソフトバンク

そんなわけで半額サポート+に期待してしまった他社ユーザーは気の毒だなとは思いますが、自社ユーザーを囲い込みたいのも、時にはそのためにお金を使うのも、本来は当たり前のことですよね。キャリアも商売、営利企業なんですから。

過度な割引や縛りなんて言い草も結局誰が何を根拠に言っているのか分かったものではありませんし、一連の流れで消費者が得をするわけもなく、あの意味不明なルールが自分たちのためになると本気で信じ込んでいる人、あるいは思考停止でキャリアがやることはすべて悪だと思いこんでいる人はどうしようもないと思います。異常な業界だなんだと総務省をはじめとした連中は言いますが、不当かつ過度な介入で民間企業に利益を出させないように(そしてなぜか消費者の得にもならないように)熱心に活動している官サイドこそ「異常」です。

これが官製不況に反撃する一手になるほどのインパクトがある割引プログラムかは微妙なところですが、こういうトリックを真っ先に考えて実践してしまうあたり、やっぱり役所と戦わせたらソフトバンクの右に出る者はいないなあ……と妙に感心してしまいました。

……まあ、その狡猾さがユーザー側に牙を剥くことも少なからずあるキャリアなので好きにはなれないのですがw

Source: ソフトバンク

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