
台数制限でDropboxを捨てた理由、Evernoteを捨てなかった理由
Androidスマートフォンを使いはじめてすぐ、2011年頃から使ってきた長い付き合いになる2つのサービスがあります。クラウドストレージの「Dropbox」とオンラインノートの「Evernote」です。
この2つのサービスにはある共通点があり、それはクラウドサービスとしては大きなメリットのひとつを殺すことになる「台数制限」に踏み切ったこと。どちらも無料会員の場合の話で、Evernoteは2016年から2台まで、Dropboxは2019年から3台までになりました。「どのデバイスからも、どこからでも同じデータにアクセスできる」ということにメリットを感じていたユーザーにとっては、こうなると有料プランに切り替えるか、見切りを付けてほかのサービスに乗り換えるかの二択を迫られることになります。
どちらのサービスも使い込んできて、もはや生活に欠かせない……と思っていましたが、私が下した決断は真逆のものでした。Evernoteはお金を払ってでも今までと同じように使える道を選び、Dropboxには別れを告げたのです。なぜこうなったか、というのを改めて言語化してみると、結局は「替えがきくサービスかどうか」が明暗を分けるのではないかと思います。
クラウドストレージは別にどこでもいい
まずDropboxを辞めた理由から考えてみると、クラウドストレージって結局、データを置いておければどこでもいいんですよね。もちろん、信頼できる提供元かどうかやアプリの操作性、送受信の速度などそれなりに違いはありますが、Windowsのエクスプローラーから操作することが大半、それもバックアップやスマートフォンとのファイル同期が中心で即時反映される必要はそんなにない……なんて使い方になると、サービスごとの使い勝手の違いはほとんど無くなってきます。
私の場合、かつてDropboxを使っていた理由は「スマートフォンを色々買っていたら各メーカーの特典でボーナス容量が貯まっていった(=無料でも有料プラン並みの容量を使えた)」からでした。そして今はGoogleドライブがその状態なのでそちらを使っています。
Evernoteの代わりは私にとっては無かった
実を言うと、Evernoteを使い始めた理由もDropboxと同じ「スマホの購入特典」でした。docomoのスマートフォンを購入すると1年間Evernoteプレミアムを無料で使えるという特典があるのですが、かつてはこれを何台分も(何年分も)積み上げておくことができたのです。長いことこのキャンペーンのお世話になっていたのですが、2018年に使い切ってしまい普通の無料会員に。しかし、もはやEvernoteの代わりはないと考えていたので迷わず課金して継続しています。
世間的にはEvernoteに代わるサービスというとGoogle Keepがまず挙がるようですが、だいぶコンセプトが違うのでKeepに移行できるかどうかは使い方によるところが大きいと思います。Evernoteが「メモ帳を何冊も入れておける箱」だとしたら、Keepは「付箋を無限に貼れる大きな板」のようなもの。使い捨てのメモ書きをさっと残していくにはKeepも悪くない、むしろ素早く使えて良いのですが、Evernoteでしっかり書類を整理して蓄積していくような使い方をしていると移行先としては考えにくいです(Keepも検索やラベル付けはできるのですが)。
Webサービスを「後から」有料化するのは本当に難しい
DropboxとEvernoteのどちらにも言えることとしては、無料で使えていた基本的な機能を後から有料化するという、いわば「利便性を人質にとった収益化」の抵抗感は大きく、逆にユーザーが離れてしまうリスクも高いだろうということ。新たな付加価値でお金を取る、あるいは最初からお金を取るなら納得して払えるんですけどね……。後から強引な収益化を図ると既存ユーザーから冷めた目で再評価されてしまうことになり、初期段階での料金設計は重要だと感じます。